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千葉地方裁判所 昭和38年(行)9号 判決

原告

斎藤昌子

ほか一名

右原告ら訴訟代理人

笠原忠太

被告

千葉地方法務局一宮支局

登記官 佐久間光治

右指定代理人

館忠彦

ほか二名

主文

被告が昭和三八年四月三日付で原告らの千葉地方法務局一宮支局同日受付第五四六号建物所有権保存登記申請についてなした却下決定を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告ら訴訟代理人は、主文同旨の判決を求め、その請求原因として、つぎのとおり述べた。

一、原告斎藤昌子の夫で、原告斎藤繁子(長女)および訴外同文子(次女)、同れい子(三女)の父斎藤克己は昭和二七年一月一日死亡し相続が開始したが、相続人中原告らを除くその余の文子およびれい子は同年三月一七日相続を放棄したので、原告らは、昭和三七年法律第四〇号による改正前の民法第九三九条により相続分が克己の配偶者たる原告昌子は三分の一、克己の子たる原告繁子は三分の二となるものとし、申請書に右相続分に相応する各持分を記載して克己の遺産である建物につき昭和三八年四月三日千葉地方法務局一宮支局に同日受付第五四六号の所有権保存登記を申請したところ、被告は両日付で、昭和二三年一一月五日付民事甲第二、一三五号および昭和二九年四月一六日付民事甲第八〇〇号各法務省民事局長回答によれば、右申請のような場合の相続分は、右改正前の民法第九三九条の解釈上、原告昌子は五分の三、原告繁子は五分の二とするように明示されており、登記事務を直接取り扱う登記官としては先例に従うべきは当然で、原告らが申請書に記載した持分、したがつて相続分は右先例の示すところに従つて計算した相続分と異なるとして、不動産登記法第四九条第二号の規定により原告らの右登記申請を却下する旨の決定をなした、しかし右決定は違法なので原告らは昭和三八年四月六日千葉地方法務局長に審査請求をなしたところ、同法務局長は同年一〇月二日原告らの右登記申請は不動産登記法第四九条第八号の規定に該当し却下すべきものであるとの理由で、審査請求を棄却する旨の裁決をなし、原告らは同月五日その裁決書の送達を受けた。

二、しかしながら被告のなした本件登記申請却下決定にはつぎのような違法があるから、右却下決定は取り消さるべきである。すなわち、

(一)  数人の相続人中に相続の放棄した者がある場合に他の相続人の相続分がどれだけになるかは裁判所の判断すべき事項であるから、登記官としては、法務省の登記の先例に示された解釈と異なる相続分に応ずる持分を申請書に記載してなされた登記申請であつても、右先例に示された解釈に従つていないという理由だけで却下すべきでなく、登記申請を受理すべきであり、登記された相続分や持分の計算の当否が争いとなれば、それは当事者が訴訟によつて解決すればよい問題である。したがつて被告は、原告らの本件登記申請を受理すべきであるのに、法務省の登記の先例に反することを理由に不動産登記法第四九条第二号により右申請を却下したのは同法条の解釈を誤つたもので違法である。

(二)  相続人が配偶者と数人の直系卑属である場合に、直系卑属中の一部の者が相続を放棄しても、その者の相続分は依然直系卑属の株のうちにとどまる。したがつて放棄した者の相続分は共同相続人たる他の直系卑属だけに帰属し、配偶者へは帰属しない(中川善之助著「注釈相続法」上巻二九九頁、我妻栄、立石芳枝著「親族法・相続法」五一六頁、有斐閣発行「家族法大系Ⅶ相続(2)」一二〇頁参照)。右解釈は昭和三七年法律第四〇号による改正前の民法第九三九条に関する学説の示すところであつたが、当時これに反対の学説もあり官庁間の意見にも相違をきたしていたことから、昭和三七年法律第四〇号により現行法のように改正をみたものである。しかしこの改正は旧法当時の解釈を公権的に統一したに過ぎないものであつて、右改正前の民法第九三九条は現行法と同様に解釈すべきものである。しかるに被告は、右解釈と見解を異にする法務省の登記の先例を墨守して原告らの登記申請を却下したが、これは法律の解釈を誤つたもので違法である。

三、よつて原告らは被告に対し本件登記申請却下決定を取り消すことを求める。

以上のとおり述べた。

被告指定代理人は、「原告らの請求を棄却する。訴訟費用は原告らの負担とする。」との判決を求め、答弁および被告の主張として、つぎのとおり述べた。

一、原告ら主張の請求原因事実中、一は認めるが、その余は争う。

二、(一)昭和三七年法律第四〇号による改正前の民法第九三九条第二項は「数人の相続人がある場合において、その一人が放棄したときは、その相続分は、他の相続人の相続分に応じてこれに帰属する。」ものとしていたのであるが、相続人が配偶者と数人の子である場合に、その子の一部が相続を放棄したときは解釈上、右条項にいわゆる「他の相続人」に配偶者が含まれるか否か、および「他の相続人の相続分」は法定相続分とみるか、あるいは具体的相続分とみるかによつて、右放棄された相続分の帰属については、(イ)他の子だけに帰属し、配偶者には帰属しない、(甲説)、(ロ)配偶者および他の子の具体的相続分の割合に応じて帰属する(乙説)、(ハ)配偶者および他の子の法定相続分の割合に応じて帰属する(丙説)との三つの考え方がありうる。しかし甲説は配偶者を除外していて明文の規定に反し採用し難く、丙説は配偶者を含んでいるけれども、相続の開始とともに定まる各相続人の具体的相続分を無視するもので、これもまた採用することができず、結局右法条を文理的に忠実に解釈した乙説がもつとも妥当なものというべきであつて、昭和二三年一一月五日付民事甲第二、一三五号および昭和二九年四月一六日付民事甲第八〇〇号各法務省民事局長回答もこの乙説によつたものである。

なるほど、配偶者の相続権の性質をみると、民法は相続順位を一方では第一に直系卑属、第二に直系尊属、第三に兄弟姉妹とし、これとは別に他方では配偶者を常にこれと同順位で共同相続するものとしている。しかし、そうだからといつて配偶者の相続権を直系卑属、直系尊属および兄弟姉妹のそれと別系統のものとし、旧法第九三九条第二項の解釈上、直ちに甲説すなわち原告主張のように配偶者の相続分と直系卑属などのそれとを切り離して考えることはできない。相続開始の時において、被相続人の配偶者および直系卑属は放棄者を含めてすべて相続人となり、その後放棄者があつて始めて相続開始の時に遡つて放棄の効力が生ずるのであり(旧法第九三九条第一項)、換言すれば、相続の開始と同時に後の放棄者も相続人となり一且は相続財産を合有的に承継するのであつて、これゆえに放棄者は放棄する権利を取得し、またそのために放棄者の直系卑属は代襲相続することができないのである。しかしてこの場合その相続人が直系卑属であろうと、配偶者であろうと、そのことは制度上なんらの区別なく、相続分に差があつてもすべて数人の相続人として一様に共同相続人となるのであつて、このような関係にあるものを原告主張のような直系卑属の株と配偶者の株とにいわゆる株分けして相続分の帰属を定めようとするのはことさらに文理に反した解釈といわねばならない。昭和三七年法律第四〇号による改正後の民法第九三九条は「相続の放棄をしたものは、その相続に関しては、初めから相続人とならなかつたものとみなす。」と規定し、放棄者を相続人とせず、その他の相続人だけで相続開始の時にその相続分を定めることとしたが、もし旧法の相続放棄の効果を原告の主張どうりに解することができるならば、このような改正の必要も生じなかつたものである。

以上要するに、相続人が配偶者と数人の子である場合に、その子の一部が相続の放棄をしたときの相続分は、旧法第九三九条第二項の解釈上、前記乙説によつて定められるべきであり、しかしてこのことは昭和三七年法律第四〇号により右法条が改正された後においてもなんら異なるところはない。なんとなれば昭和三七年法律第四〇号附則第二項但書は、従前すなわち同法律による改正前の民法の規定によつて生じた効力を妨げないものとしているから、同法律施行後に登記がなされる場合であつても、それが同法律施行前すでに相続放棄のあつたものについてなされる限り、同様であるべきだからである。

(二) そうすると本件において斎藤克己が昭和二七年一月一日死亡し、その法定相続人は原告ら両名および斎藤文子、同れい子であつたところ、文子とれい子はいずれも相続を放棄したのであるから、旧法第九三九条第二項の解釈上、相続を放棄した文子とれい子の相続分は他の共同相続人である原告ら両名にその各相続分に応じて帰属し、その結果原告昌子の相続分は五分の三、原告繁子の相続分は五分の二となつたものである。したがつて原告らが相続を原因として克己の遺産に属する不動産につき右相続分に相応する持分によつて所有権保存登記申請をなそうとするのであれば、その申請書には持分として原告昌子は五分の三、原告繁子は五分の二と記載すべきであるに、原告らはこれと異なる原告ら主張のような持分(相続分)を記載して登記申請をなしたものである。しかし原告らが申請書に記載したような持分の登記を求めるためには、単に相続や相続放棄を証する書面だけでなく、たとえば遺産分割協議書など持分(相続分)の変動を明らかにし、実体に副うような書面の提出が必要であつて、これを添付して登記申請をなすべきものである。しかるに原告らは登記申請をなすにあたつてその申請書に右のような書面を添付しなかつたものであつて、その欠缺は不動産登記法第四九条第八号の「申請書ニ必要ナル書面……ヲ添付セサルトキ」に該当するから、右登記申請は却下すべきものである。

(三) 被告は原告らのなした登記申請をさきに不動産登記法第四九条第二号の「事件カ登記スヘキモノニ非サルトキ」に該当するものとして右申請を却下したが、同申請はすでに述べたようにその申請書に必要な書面を添付しないもので、同条第八号に該当するから、結局被告のなした右却下決定は適法であつて、なんらの違法も存しない。

よつて原告らの請求は理由がなく、棄却さるべきである。

右のように述べた。

理由

一、原告斎藤昌子の夫で、原告繁子(長女)および訴外同文子(次女)、同れい子(三女)の父斎藤克己が昭和二七年一月一日死亡し相続が開始したが、相続人中原告らを除くその余の文子およびれい子が同年三月一七日相続を放棄したこと、原告らが、昭和三七年法律第四〇号による改正前の民法第九三九条により相続分が、克己の配偶者たる原告昌子は三分の一、克己の子たる原告繁子は三分の二となるものとし、申請書に右相続分に相応する各持分を記載して克己の遺産である建物につき昭和三八年四月三日千葉地方法務局一宮支局に同日受付第五四六号の所有権保存登記申請をなしたこと、被告が同日付で、原告らが申請書に記載した持分、したがつて相続分は、右改正前の民法第九三九条の解釈として、昭和二三年一一月五日付民事甲第二、一三五号および昭和二九年四月一六日付民事甲第八〇〇号各法務省民事局長回答など先例に示すところに従つて計算した相続分、すなわち、原告昌子は五分の三、原告繁子は五分の二と異なるとして不動産登記法第四九条第二号の規定により、原告らの右登記申請を却下する旨の決定をなしたこと、原告らが右決定を違法であるとして昭和三八年四月六日千葉地方法務局に審査請求をなしたところ、同法務局長は同年一〇月二日原告らの右登記申請は不動産登記法第四九条第八号の規定に該当し却下すべきものであるとの理由で、審査請求を棄却する旨の裁決をなし、その裁決書が同月五日原告らに送達されたことは、当事者間に争いがない。

二、そして原告は、まず、数人の相続人中に相続の放棄をした者がある場合に他の相続人の相続分がどれだけになるかということは裁判所の判断すべき事項であるから、登記官は法務省の登記の先例に示された解釈と異なる相続分に応ずる持分を申請書に記載してなされた本件登記申請であつても、右先例に従つていないという理由だけで却下すべきでないと主張する。

思うに、具体的な法律上の争訟について法の解釈、適用をすることが裁判所に与えられた任務であることはいうまでもない。しかし登記官の審査権限は、その審査の対象たる事項に関する問題としてみれば、単に登記申請が手続法的要件を具備しているかどうかだけでなく、申請にあたつて提出された書面により可能な限度で、実体法条の事項についても審査することができ、しかしてかような意味での実体法的事項の審査には実体法自体の解釈を必要とし、またこれを避けえないものであることは多言を要しない。しかしひとくちに実体法の解釈といつても、判例や学説の確立していない状況のもとにおいては、なにが実体法の正しい解釈であるかの判断が必ずしも容易でないことがありうる。かような場合、なにが実体法の正しい解釈であるかは裁判所の判断すべき事柄であつて、登記官の解釈のみによつて申請の拒否を決せしめるようなことは裁判所で正当と判断されるかもしれない事項の公示の可能性を失わせるなどとの理由によつて、すべての申請を受理して登記を許すことを登記官に求めるべきものとすれば、さまざまな登記が当事者の欲するところに従つてなされる結果を招き、いたずらに登記面を混乱させることになるであろう。登記官が登記の取扱上、法務省の登記の先例や通達に示された一定の解釈に基づき申請の拒否を決することの意義の一半は、少くとも右のような登記面の混乱を防止する役割を果す点に存する。しかしながら、先例、通達は、行政庁を拘束するにとどまり、国民一般はこれに拘束されるものではないから、実体法に関し先例、通達に示された解釈と異なる解釈をとることができ、そのいずれが正しい解釈であるかは、結局、裁判所によつて具体的な法律上の争訟についての法の解釈、適用を通じて判定せらるべきものといわねばならない。そうだとすると本件所有権保存登記申請書に記載された原告らの不動産持分が法務省の登記の先例に示された解釈に従つて計算した原告らの相続分に相応せず、仮に登記官がこの点をとらえて右登記申請を却下したものとしても、先例に示された解釈が法の正しい解釈に合致し、かつその解釈を基礎としてなされた不動産登記法第四九条所定の申請却下事由の存否に判断に誤りのない以上、該申請却下処分は法の根拠に基づく正当な処分と解すべきであるから、先例に示された解釈が法の正しい解釈に合致するか否かを論外として、右却下処分が先例をよりどころとする点のみを問題視し、その適否を云為するのは当らないというべきである。そして本件においては配偶者と数人の子が相続人である場合に子の一部が相続を放棄したときは、その放棄した子の相続分はなんびとに帰属することとなるかの問題について、昭和三七年法律第四〇号による改正前の民法第九三九条第二項の規定に関し、原告らのとつた見解と、被告のよりどころとした法務省の先例に示された解釈にそごがあつて、本件申請却下処分の適否は、なにが右法条の正しい解釈であり、原、被告のとつた解釈のいずれがこれに合致するかの判断に左右されるものと考えられるで、以下この点について検討する。

三、前記改正前の民法第九三九条第二項は「数人の相続人がある場合において、その一人が放棄したときは、その相続分は、他の相続人の相続分に応じてこれに帰属する。」と規定している。したがつて本件のように配偶者と数人の子が相続人である場合に子の一部が相続の放棄をしたときは、その放棄した子の相続分は、配偶者および他の子の相続分に応じてこれに帰属するものと解するのが、規定の文字にもつとも忠実な解釈であることは被告の指摘するとおりであつて、被告が本件申請却下処分をなすにあたつてよりどころとした法務省の登記の先例の示すところも右の解釈によつたものであることも被告の主張するとおりである。

しかしながら、新民法は、相続順位を一方では、第一に直系卑属、第二に直系尊属、第三に兄弟姉妹とし(昭和三七年法律第四〇号による改正前の第八八七条ないし第八八九条)、他方では、配偶者は常にこれら血族と同順位で共同相続人となるものとし(第八九〇条)、その相続分も、共同する血続相続人が直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹となるに応じてそれぞれ、三分の一、二分の一、三分の二と割合を増している(前記改正前の第九〇〇条)。このことからみると、新民法は、相続人を明らかに血族系統と配偶者の二系列にわかち、配偶者の相続権は血族のそれとは別系統のものとみて、これに特殊の相続分を定めたものと解するのが相当であり、そうだとすると、相続放棄の場合も、血族系統内の放棄は、その系統内の共同相続人の相続分を変えることがあつても、酒偶者の相続分は、血族相続人の順位に変更が生ずる場合に限り、変化を生ずるにとどまり、そのほかの場合は右相続放棄によつて影響を受けない性質のものと解すべきであり、してみれば配偶者と数人の子が相続人である場合に子の一部が相続の放棄をしたときは、放棄した子の相続分は共同相続人である他の子に帰属するだけで、配偶者の相続分にはなんらの影響を及ぼさないといわねばならない。そしてこのように解すべきものとすれば、前記改正前の民法第九三九条第二項にいわゆる「他の相続人」のうちには配偶者は含まれないこととなり、その結果右文字そのものに忠実でなくなる憾みが生ずるのは否定できないけれども、そもそもこれは配偶者と血族との共同相続ということのなかつた旧民法の用語がそのまま新民法に踏襲されたことによるものとも考えられ、かような立法的欠陥を補うためには文字にやや忠実でない解釈もやむをえないところであり、これを強いて不当視すべきではない。

そうだとすると、原告昌子の夫で、原告繁子および訴外斎藤文子、同れい子の父克己が昭和二七年一月一日死亡し相続が開始したところ、相続人中原告らを除くその余の文子およびれい子が同年三月一七日相続を放棄したこと、原告らが克己の遺産に属する建物につき所有権保存登記申請をなすにあたり、克己の配偶者である原告昌子の相続分は三分の一、克己の子である原告繁子の相続分は三分の二になるものとして、登記申請書に右相続分に相応する各持分を記載して登記申請に及んだものであることが前記のとおり当事者間に争いのない本件において、原告らが申請書に記載した建物の各持分、ひいてはその持分の算定の基礎とした原告らの各相続分は、配偶者と数人の子が相続人である場合に子の一部が相続の放棄をしたときは、放棄した子の相続分は共同相続人である他の子に帰属するだけで、配偶者の相続分に影響しないものとする前記改正前の民法第九三九条第二項の規定の解釈に適合するものであり、しかして右改正法(昭和三七年法律第四〇号)施行前になされた文子およびれい子の相続放棄の効力は同法施行後も変わらない(右改正法附則第二項但書)のであつて、しかるうえは右相続および相続放棄をそれぞれ証する書面の提出のある限り、登記申請に要する書面に欠けたところはなく、したがつて原告らのなした本件登記申請は、登記事項はもとより登記原因を証する添付書面およびこれら両者の符合の点のいずれにもなんら申請却下の事由はないから、登記官としては右申請を受理し、これに応じた登記をなすべきものといわねばならない。

四、以上説示したところによれば、本件登記申請はこれを受理すべきものであることが明らかであつて、これを却下した被告の決定は違法であるから、右決定の取消を求める原告の本訴請求は理由がある。

よつて原告の請求を正当として認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官堀部勇二 裁判官岡村利男 若林昌俊)

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